刺青牡丹~第1話『下絵』[2:1]

 【登場人物】

■黛 冴子:まゆずみ さえこ。34歳。自分を変えたいと、母親が世話になった彫物師(ほりものし)を探す。共依存気味。

■山神 龍二:やまがみ りゅうじ。彫物師だった父親から教えられ、裏稼業として彫物師をおこなっている。職人肌。表は心理カウンセラー「神崎 龍也(かんざき たつや)」として病院勤務。

■山神 一虎:やまがみ かずとら。龍二の兄。龍二に嫉妬心を抱いている。情報屋"黒虎"。龍二に比べて軽い感じにふるまう。表はホスピスで勤務。

■黛 瑤子:まゆずみ ようこ。冴子の母。龍二の父、龍玄に世話になった過去がある。難病でホスピスに入院中。(兼役)

■山神 龍玄:「手彫り彫物工房 龍」(てぼり ほりものこうぼう りゅう)龍二と一虎の父親。伝説の彫り物師と言われた。病死。(第1話には出てこない)

■店主:(兼役)

■男:冴子のパートナーだった男。冴子に暴力をふるう(兼役)

---<< 1話 ~下絵~ >>------------------------------------------------------------------

冴子M:母が訪ねたことがあるという「手彫り彫物工房 龍」(てぼり ほりものこうぼう りゅう)子どもの頃のうっすらとした記憶と共に、わたしが働いている店のママから教えてもらった、「情報屋」がいるという路地裏のBARへ向かう。

冴子M:……ここ、かしら。

いた……!

店の奥。カウンター。柱の横……

目深に黒いフードを被り、サングラスをかけた男。

左手の甲に、虎の爪痕の刺青。

―それらしき人物を見つけ、近づく冴子

冴子:お隣、いいかしら?

情報屋(一虎):お、奢りか?

冴子M:少ししゃがれた声。

冴子:ええ。

情報屋(一虎):なんの酒だ。

冴子:ブラッディメアリー。

情報屋(一虎):あ~、それは好きじゃねぇんだわ。悪いけど、向こうで飲んでくれー

冴子:(かぶせるように)シャンディ・ガフ

情報屋(一虎):……

冴子:……

情報屋(一虎):ま、座れよ。

冴子M:それが合図だ。

―ブラッディメアリー「私の心は燃えている・断固として勝つ」
―シャンディ・ガフ「無駄なこと」

冴子M:無駄かどうかは私が決める。

―冴子、一虎の横に座る

情報屋(一虎):で、どんな情報が知りたいんだ?

冴子:「龍」の居場所を教えてほしいの。

情報屋(一虎):「龍」……

冴子:ネットで調べても出てこないんだけど。

情報屋(一虎):…………

冴子:どうしたの?

情報屋(一虎):いや?

そりゃそうさぁ。

冴子:教えてほしいの。昔、母がお世話になったってー

命を捨てようとした母に、生きる力を与えてくれたから……

情報屋(一虎):へぇ

冴子:私にも命を与えてほしい。

情報屋(一虎):なんだ?あんた、死んでるのか?

冴子M:サングラスの奥の瞳が私を見据える。

情報屋(一虎):あいつは、刺青で命を与える。

だが、命を取ることもできる稀有な彫物師だ。

冴子:ん、聞いてる。

情報屋(一虎):ふっ、……知りたいか?

冴子:いくら?

情報屋(一虎):危ねぇぞ?

冴子:……いくら?

情報屋(一虎):そうだな、ま、5万ってとこか。

冴子:……

情報屋(一虎):高いか?

冴子:いいえ。

―冴子、渡す

情報屋(一虎):……(確認)

「鮮魚街道」ってわかるか。

冴子:ええ。

情報屋(一虎):昔、魚屋をやっていたところ。袋小路になっていて、車は入れない。そのつながりに平屋建ての小さな家がある。

だれも住んでいないように見えるけど、たまに蠟燭の灯りが見えるんだ。

冴子:蝋燭……。わかった、行ってみる。

情報屋(一虎):突然行っても帰されるから、仲介人を介して、連絡を入れといてやる。

……あんた、名前は?

冴子:……「冴子」

いつやってるかわかるの?

情報屋(一虎):金曜、日が落ちる頃からやっている……、はず。

冴子:はず?

情報屋(一虎):いつやってるか、決まってないからな。

冴子:毎日じゃないのね。

情報屋(一虎):ま、そこは、本人に会った時に聞いてくれや。

冴子:わかった……

―情報屋に言われた通り、金曜の夜に「手彫り彫物工房 龍」を探す冴子

【間】

冴子:ここ、かしら……

―様子を伺うように平屋の周りを歩く

冴子:蠟燭のあかり……

―ノック

―室内から低い男の声がする。

龍二:誰だ。

冴子:あ……、あの、「手彫り彫物工房 龍」はここ?

龍二:……誰にここを聞いた。

冴子:「黒虎(くろとら)」

龍二:……

冴子:あと、昔、母が龍玄(りゅうげん)さんにお世話になってことがあって……

龍二:親父に用があるなら帰りな。もう死んじまったよ。

冴子:いえ、息子さんがやっているはずと、母が言っていたもんですから。

龍二:……名前は?

冴子:私は「冴子」。母は「瑶子(ようこ)」。「黛 瑶子(まゆずみ ようこ)」—

龍二:黛……?

冴子:ええ。「黛 瑶子(まゆずみ ようこ)」

龍二:……

―入り口を開ける龍二

冴子M:暗い室内に、蝋燭が数本ゆらめいている。

冴子:あなたが、龍二さん?

龍二:……入れ。

―ドアを閉め、施術台の向こう側に座る龍二

冴子M:狭い空間。暗くて顔がよく見えないが、ぎらついた目が私の身体を舐めまわすように見ているのを感じる。

龍二:あんたの母親、知ってるよ。

冴子:会ったことがあるの?

龍二:座れ。

冴子M:施術台の前の椅子に座るよう促される。

冴子:父が居なくなってから、龍玄さんが心の支えになってたみたい。亡くなったの?いつ?

龍二:気づいたころには、全身癌におかされてた。医師も「手の施しようがない」とな。親父も「治療はしねぇ」って、去年自宅で死んだよ。

冴子:そう……。どんなお父さんだったの?

龍二:親子関係というより、師弟関係だからな。よくわからねぇ。

冴子:……母と龍玄さんがどのくらいの仲だったか私もわからないのだけど……。母が、歩道橋から飛び降りようとしたところを止めたのが龍玄さんだったとか。

龍二:……

冴子:父が女つくって、金持って出てったのよ。それで絶望して。私が6歳だった頃。私をおいて死のうとするんだから、母も大概よね。

龍二:そうか。

冴子:でも、その後立ち直って、女手一つで私を育ててくれたわ。龍玄さんのおかげだと思ってる。ひとことお礼を言いたかった。

龍二:言ったところで何もならねぇよ。

冴子:そう、かしら……。

龍二:おふくろさんは?

冴子:ホスピスに入院してる。余命宣告された。「特発性間質性肺炎(とくはつせい かんしつせい はいえん)」。息苦しそうで、とても見ていられない。

行く度に「もういい、楽になりたい」って訴えてくるけど、どうしてあげることもできない。

龍二:(つぶやくように)ホスピス……

冴子:神崎センター南病院よ。知ってる?

龍二:……

冴子:……?

あ、あと、母の着替えを手伝った時、見たの。右内腿に、龍玄さんの名前と石楠花(しゃくなげ)の花びらが彫られていたのを。

龍二:隠し彫り……石楠花……

冴子:何か意味があるの?

龍二:「危険」、「威厳」

冴子:「危険」?

龍二:石楠花は有毒植物だ。葉には「グラヤノトキシン」という毒がある。多量に飲んだり、体に合わなかったりすると中毒症状が起きる場合がある。

冴子:だから「危険」なんて花言葉が……

お母さん……

龍二:あんたは、なぜ刺青をいれたい?「ファッションでいれたい」ってなら断る。

冴子:違う!

そう、ね……

「変わりたい」から。

龍二:変わりたい?

冴子:私、男運がないの。ダメな男ばっかり。母と同じ。

龍二:珍しくないだろ。

冴子:そうかも、しれないけど……

龍二:それだけじゃ彫らない。

冴子:こどもの頃から貧しい暮らしだった。ずっと虐められて、蔑まれてきた。手を差しのべてきた男は、みんな私の身体と金狙い。いい加減、断ち切りたいのよ。

龍二:(ため息)

冴子:……商売っ気がないのね。

龍二:俺は、俺が「彫ってもいい」と思った奴にだけやる。

冴子:しかも、あなたが思いついた図柄を彫るんでしょ。なに?アーティスト気取り?

そんなので生活が成り立つの?

龍二:……お前に話す義理はない。

冴子:表の顔があるのね。偽名を使って、お仕事されてるのかしら。

龍二:詮索するなら帰れ。

冴子:ああ、悪かったわ。

龍二:……他に言いたいことは?

冴子:私、……人を、殺してきた。

龍二:……

冴子:驚かないのね。

龍二:裏でやってんだ。何があってもおかしくない。

冴子:そっか……

見て……、2週間前まで付き合ってた男にやられたの。

—ブラウスのボタンをはずし、腕や、背中の傷や痣を見せる

龍二:…………

冴子:典型的なDV男。サイテー。でも、逃げられないの。警察に相談してもダメ。それがバレたら、また殴られる。金はとられる。自尊心ぐちゃぐちゃよ。

もう自分でなんとかするしかないと思ったの。死にたいと何度も思った。でも、母の自殺未遂を思い出して、ああなってはいけないと思って。

母も、私を残して逝くことをひどく心配してる。

それで、「龍玄さんのところへ行ってみなさい」って言ったんでしょうね。

龍二:あいにくだったな。……で?

冴子:え?

ああ、男?あいつは……。

夜、一緒にいたときにやったわ。母が飛び降りようとした歩道橋で。
階段が急で細くて長いところ。

龍二:……旧松戸街道歩道橋か。

冴子:そう。毎晩浴びるほど酒を呑んで、道端で寝ちゃって、朝までそのままってことも多かった。

あの夜は、雨が降っていたわ。いつものように居酒屋でしこたま呑んで……

【回想】

男:はやく、冴子を呼べ!

店主:お客さん、困りますよ。大きな声を出さないでください。

男:うるせぇ!!

―皿を投げる

店主:うわっ!!

男:あいつが来るまで動かねぇぞ!!

店主:け、警察……

男:ああ?あいつが来たら、金を払うって言ってんだろうがっ!!

店主:わ、わかりましたよ……

―冴子に電話をかける店主

冴子:もしもし?ああ、どうも。……え?また暴れてるんですか。

店主:お金を持っていらっしゃらないようでして……

冴子:すみません。でも、私、いま仕事中なんで、タクシーに乗せてくれませんか。

店主:それが「冴子さんが来るまで動かない」と……

冴子:またそんな……。(ため息)わかりました。行きます。

いつもご迷惑をおかけしてすみません。

―電話を切る

冴子:ママ、ごめんなさい。ちょっと外出してきます。実は……

―迎えに行く冴子
―店の中へ

冴子:すみません……

男:おっせぇんだよ!「来い」っていったら、5分で来いや!

冴子:私だって仕事してー

男:口ごたえするんじゃねぇよ!

―平手打ち

冴子:キャッ!!

男:おい、金払っとけよ。

冴子:……。お、おいくらですか。

男:ったく、役に立たねぇな。

冴子:ちょ、ちょっと!傘!

—精算
—傘をさし、冴子は男の後ろを歩く

冴子:もうフラフラじゃない……

男:……

冴子:雨も降ってるし、タクシーで帰りましょう?

男:うるせぇ!黙って歩け!!

冴子:……

—歩道橋

冴子:歩道橋。階段、足元に気を付けて。

男:いちいちうるせんだよ!

―男、フラフラと階段をおりていく
―目つきが変わる冴子

冴子:……ねぇ

男:あ?

冴子:(大きな声で)危ない!

男:っ!!うぉっ!!!!

―足を滑らせ、転がりながら落ちていく男

【回想 終わり】

冴子:驚いて足を滑らせて、そのまま下まで転がっていったわ。頭から血を流して、動かなくなった。

落ちればいい、そう思った。なんていうんだっけ?こういうの……

「未必の故意(みひつのこい)」って言うんだったかしら。

救急車を呼んで緊急搬送されたけど、もう死んでた。事故扱いでおしまい。

やっと、やっと解放された。晴れて自由の身よ。

龍二:結構なことじゃねぇか。

冴子:でも、また次があるかもしれない。何度同じことを繰り返してきたか。私も、相当バカな女。だから、二度と同じ目にあわないよう、自分の弱い心を戒めたい。

この身体に刺青をして、それを見るたびに思いだせるように。

龍二:……カウンセリング―

―その言葉に強く反応し、立ち上がる冴子

冴子:なによ!!みんな、すぐ「カウンセリングに行け」だとか、「共依存」だとか、「精神科」に行けだとか!!偉そうに命令しないでよ!!

龍二:……

冴子:私が悪いっていうの?私が病気だって言いたいわけ?

龍二:……

冴子:誰も私の気持ちをわかろうとしない。あなたもそうでしょ!

龍二:ああ、わからねぇな。

冴子:みんなそうやって、私を否定する!聞き飽きた!もう嫌!どうして誰もわかってくれないの?!

……断られたら、私、ここで死ぬわ。

―カッターを出す冴子

龍二:……彫り物をいれる理由は。

冴子:私は強く生きたい!でも、このままだとダメなの!また繰り返すのがわかる!

龍二:……

冴子:いままでの自分とサヨナラしたいのよ!!

龍二:手首……

―冴子の手首に、リストカットの跡

冴子:これはっ!(慌てて隠す)

龍二:あとで消したいと思っても、そう簡単には消えねぇんだぞ。

冴子:私は、世間や、男たちに傷つけられたのよ。一生消えない傷。この醜い身体を見たでしょ。痣を、傷を、刺青で消してほしいの!

龍二:俺がやってることは神聖な儀式だ。

「捨てられるはずの木材に、彫刻をして命を吹き込む」
「捨てるつもりの命に、彫り物をして生きる力を吹き込む」

冴子:神聖な、儀式……。

そう、そうよ。私に生きる力を吹き込んでほしいの!「ちゃんと生きる」ために……

龍二:……

冴子:後悔なんかしない。その程度の覚悟なら、ここには来てない。覚悟を見たいっていうなら、このカッターで傷つけてみせる。

―切ろうする冴子

龍二:やめろ。工房を血で汚されたらかなわん。カッターをしまえ。

冴子:え……

龍二:しまえ。

冴子:彫って、くれるなら……

龍二:カウンセリングは終わりだ。

冴子:え……?

龍二:お前に合う図柄を俺が選ぶ。

―へなへなと座り込む冴子

龍二:俺は総手彫りだ。すじ彫りからぼかしまで全て手彫り。時間は掛かるが、時間の経過とともに深い味わいになる。

冴子:……

龍二:肌への負担や痛みや出血が少ない。施術部位が早く回復する。

冴子:……古来伝統の手法、ね

わかった。

龍二:合意書だ。目を通して問題がなければ署名。

―目を通し、サインをする

冴子:……はい、これ。

龍二:(目を通す)準備をする。

お前は全部脱いで、そこにうつ伏せだ。

冴子:……

冴子M:暗闇から立ち上がった龍二さんは、上半身裸だった。逞しい背中には、見事な龍の刺青。

―服を脱ぐ冴子
―背中に視線を感じる龍二

龍二:なんだ?

冴子:背中の彫り物、見事ね。誰に彫ってもらったの?

龍二:……親父。

冴子:龍玄さんの彫り……。でも色はついてない。

龍二:カラス彫り。

……準備ができたか。

冴子:ええ。

龍二:よし。

―振り向く龍二
―裸で立ったままの冴子

冴子:……

龍二:……どうした。

冴子:……

龍二:怖くなったのか。

冴子:ち、ちが……

龍二:いまならまだやめられる。

冴子:やる、やるわ!

龍二:痛いのが怖いなら(麻酔―

冴子:いいえ、痛みをひとつひとつ感じて、過去の自分とサヨナラする。

龍二:なら、うつ伏せになれ。

―なかなかうつ伏せにならない冴子

龍二:なんだ?

冴子:……母は、龍玄さんに抱いてもらったんでしょ?

龍二:あ?

冴子:隠し彫りまでしてもらって。それで、生きる力をもらった。

龍二:知らねえよ。いいから、うつ伏せになれ。

冴子:……

—うつ伏せになる冴子

龍二:触るぞ。

冴子M:触られた瞬間、全身に走る快感。

冴子:んっ!

龍二:……

冴子M:私の肉づき、骨格を確かめるように、少しずつ触れていく。

龍二:ふむ……

冴子M:手があたたかくて、優しくて、愛撫されているみたいで……

龍二:(つぶやくように)きれいな肌だ。この流線形、潤沢な潤い。腰つき。ここの丸み。

冴子M:ひとりごとなのだろうが、まるで耳元で囁かれているようで快感に震えそうだ。

龍二:ああ、ふくらはぎの形もいい。

冴子M:前戯(ぜんぎ)のような手つきもあいまって、身体があつくなっていくのがわかる。

龍二:足の指も、親指から小指まで繊細な整い方をしている。

冴子M:鼓動がはやくなっていく。

龍二:……

冴子:は……、は、はやく……

龍二:決めたぞ。手拭いでも咥えておけ。

冴子:え、下絵は?

龍二:頭の中にある。

いい素材だ。

冴子:そ、ざい……?

冴子M:すべてを見透かされているようで……、いまの私は、丸裸だ。

―デザインを書いていく龍二

冴子M:触られるたびに、おかしくなりそうだ。

【間】

龍二:……今日はここまでだ。しばらく休んでいろ。

―息の荒い冴子

冴子:な、なにを彫ってくれてるの……?

龍二:「牡丹」

冴子:牡丹……?

龍二:一輪挿しでも豪華に見える。

冴子:はやく、見たい……。どんな彫り?

龍二:「抜き彫り」で、見切りは「曙みきり(あけぼのみきり)」

冴子:どのくらいかかるの?

龍二:30か、40時間。

冴子:今日は(時計を見る)3時間……。毎日くれば、10日くらいで完成?

龍二:休日しかやってない。

冴子:だったら、休日に10時間やってよ。そしたら―

龍二:やめておけ。

冴子:耐えられる!はやく、はやく入れてほしい。

龍二:……

冴子:今日は金曜。明日もやってる?

龍二:「俺の休日」にやっている。

冴子:次は、いつ?

龍二:……水曜

冴子:水曜ね。来るわ。休みをもらって来る。

龍二:無理はするな。

冴子:絶対来るんだからっ!

龍二:素材は、おとなしく寝てろ。

冴子:う……

冴子M:彼は後ろを向いたまま、一言も発しなかった。私は触られた感触が強く刻まれて、私はしばらく恍惚としていた。


これが、私と一虎、龍二との出会いだった。

【第2話へ】