【登場人物】
ナオ:サクライ高校に通う学生。さぼり癖がある。
ナオロボ:ナオの父親が作った失敗作のロボット。
※3つのモードがあるので、声色を変えて演じてください。
テスト勉強をしなかったナオは、人型ロボットの開発をしている父親が作った(失敗作)コピーロボットを使ってかわりに学校に行かせようとするがー。
※約10分
※不問。一人称や語尾変更可。
----【本編】-------------------------------------------------
ナオ:今日からテスト。やばい。なんにもしてない。
学校行きたくない……。
「風邪ひいちゃいましてー」
「祖母が亡くなりまして―」
「人身事故にあいましてー」
ダメだ……。
そんな嘘をついても、どうせ後でテストを受けないといけないんだから。
ああああああ!どうしよう!なんで、テスト勉強しなかった!
どうして、机に向かうと眠くなるんだろう!掃除しちゃうんだろう!
たまってた録画見ちゃうんだろう~~~!
くぅ、過去の自分を呪いたい!タイムマシンがあれば、数日戻って自分を殴りたい!
……そうだ!お父さんが人型ロボットを作ってるんだった!
私をモデルにしたコピーロボットがあるはず!失敗作らしいけどっ!
どこに置いてあったっけ?物置?
―探しに行く
ナオ:たしか、ここらへんに……。あったぁ!
充電は……。え、乾電池?単三を四本?いまどき?まぁいいや、セットして……。ロボットの背中が起動ボタンだったかな。よし。ポチッ。
きたきたきたー!ムクムク大きくなって、私とそっくりにー!
……いや、なんで髪の毛ぼさぼさで、パジャマ姿なのよ。
あ、いまの私の恰好か……。喋るかな。
おはよう!
ナオロボ:おはよう!
ナオ:返事したぁ!
ナオロボ:返事したぁ!
ナオ:わたし、ナオ。
ナオロボ:わたし、ナオ。
ナオ:……。
ナオロボ:……。
ナオ:オウム返しかよ。
ナオロボ:オウム返しかよ。
ナオ(M):確かにコピーロボットだけども、これじゃダメじゃん。だから失敗作?
……そういえば、背中に他のスイッチがあったな。
ナオ:後ろ向いて?
ナオロボ:後ろ向いて?
ナオ:……。
ナオロボ:……。
ナオ:とりゃっ!
―無理やり背中を向けてボタンを押す。元通りになるコピーロボット。
ナオ:もっかいやり直そう。取説取説。えーと、なになに?スマホのアプリでー。
ああ、なるほどね!
アプリを起動して、「モード」がいくつかある。ふむふむ。
赤ボタンが「ボケツッコミ」モード。青ボタンが「買い物」モード。
緑ボタンが「指示を三つ」……
いや、赤のボタン、いらなくない?……でも、気になる。ちょっと試してみよ。
起動して、赤ボタンをタッチ、と。
ナオ:おはよう!
ナオロボ:いま何時やと思てんねん!
ナオ:いきなり、つっこまれたぁ!
ナオロボ:どうでもええけど、お前、頭ぼっさぼさやぞ。
ナオ:腹立つ~。あんたこそ、ぼさぼさじゃん!
ナオロボ:誰がボサノバじゃ!
ナオ(M):つ、つまんない……、さすがお父さんが作っただけある……。
ナオ:ねぇ、今日テストなんだけど、私のかわりに学校に行って、テスト受けてきてくれない?
ナオロボ:なんでやねん!(ビシッ)
ナオ:痛ぁ!結構強めのツッコミだったよ、いま!
ナオロボ:ハリセンにしよか?
ナオ:ちょっと、これやめやめ!使えない!いつ使うモードなのよ!買い物モードじゃダメだし、やっぱり緑ボタンの指示を三つってやつかな。
緑ボタン、タッチ!
おはよう!
ナオロボ:おはようございます。
ナオ(M):お!指示聞いてくれそうな雰囲気じゃん。
ナオ:学校に行って、テスト受けて、帰ってきて。
ナオロボ:了解いたしました。
ナオ:やった!
ナオロボ:それでは行ってきます。
ナオ:待って待って待って!髪の毛整えて、制服に着替えて、カバン持ってってー!
ナオロボ:ピー(エラー音)指示が三つ超えました。キャンセルします。
ナオ:くぅ……。まずは、私が学校に行く準備できてないといけないのか……。
めんどくさい。
―しぶしぶ着替える
ナオ:見た目よーし、制服よーし、カバンよーし。もう一回、起動!
―制服を着て、カバンを持っているコピーロボット。
ナオ:しゃおらぁ!
ナオロボ:指示をお願いします。
ナオ:学校に行って、テスト受けて、帰ってきて。
ナオロボ:了解いたしました。行ってきます。
ナオ:頑張ってねー!
ナオロボ:ピー(エラー音)指示が三つ超えました。キャンセルします。
ナオ:「頑張って」は、指示じゃないのにぃ。くそぉ、余計なことを言ったらダメだ。
―再起動
ナオロボ:指示をお願いします。
ナオ:学校に行って、テスト受けて、帰ってきて。
ナオロボ:了解いたしました。行ってきます。
ナオ(M):黙って見届ける!
―コピーロボット止まる
ナオ(M):あれ?
ナオロボ:学校名を教えてください。
ナオ:あ、そか。いや、でも、私のコピーなんだから、そこはわかっててもいいんじゃないの?
ナオロボ:クリノキ小学校ですか、モモヤマ中学校ですか、サクライ高校ですか。
ナオ:そういうことかー!サクライ高校!
ナオロボ:ピー(エラー音)指示が三つ超えました。キャンセルします。
ナオ:いや、お前が聞いてきたんだろうがっ!
こんなことしてる間に遅刻しちゃうじゃん!
……ここまで来たら試してみたい。
いままでの苦労が水の泡!ラスト!あと一回試してみよう!
―再起動
ナオロボ:指示をお願いします。
ナオ(M):落ち着けぇ。余計なことは言うな。深呼吸。
ナオ:サクライ高校に行って、テストを受けて、帰ってきて。
ナオロボ:了解いたしました。行ってきます。
―祈る思いで見届ける
ナオ:行ったぁ!やったぁ!はー、これで楽できるぅ。
ん?スマホでロボットがどこいるかわかるんだ。
お、ちゃんと学校に向かってる向かってるぅ。
ナオ:そういえば、何組か言わなかったけど大丈夫かな……。
サクライ高校って言ったし、ナオロボなんだから、大丈夫だよね。
……友達とか先生に声かけられたらどう反応するんだろう。
うわぁ、なんかいろいろ心配になってきたぁ!
これじゃ家でのんびりできないよ……
でも、今日は一科目だけだし、頼む!なんとか!
【間】
―昼頃、スマホの地図を見ながらソワソワして待つナオ
ナオ:あ、戻ってきた!
ナオロボ:ただいま戻りました。
ナオ:おかえり!テストどうだった?
ナオロボ:……
ナオ:え?あ、指示に入ってないから答えないか……
ナオロボ:……な
ナオ:ん?
ナオロボ:「なんでやねん!」
ナオ:はいぃ?!
ナオロボ:「今日は野菜が99円均一だった。お買い得!」
ナオ:え?え?
ナオロボ:「指示が三つ超えました。キャンセルします」
ナオ:ちょっ……!
ナオロボ:「それと牛乳も一本99円だった!」
「お前のコピーなんやぞ!」
「キャンセルします」
ナオ:3つのモードが入り乱れてる!やっぱり失敗作!
ナオロボ:「今夜は餃子にしようと思って」
「キャンセルします」
「テスト勉強してへんのに、問題とけるかい!」
ナオ:やばいやばい!壊れた?どーしよ!おとーさーん!
ナオロボ:「お前のコピーやからな。頭悪いのも同じや。名前だけ書いて出しといたわ」
「餃子は、ニンニク派?それとも、しょうが派?」
「指示が三つ超えています」
ナオ:ボタンが効かなくなってる!
ナオロボ:「おとんは、仕事やろがいっ!」
「大葉とチーズで、おつまみ餃子もいいかなって」
「キャンセルします。キャンセルします。キャンセルします。」
ナオ:うんうん、いいよ!キャンセルしてぇ!お願いぃぃ!
ナオロボ:「ドタキャンすんなや!」
「クーポン使って、さらに一割引き!」
「キャンセル。キャンセル。キャンセル。」
ナオ:わかった、わかったから!止まれ!ストーーーーーーップ!!
ナオロボ:「キャンセ…………」
―コピーロボット止まる
ナオ:と、とまった?よかったぁぁぁああ!一時はどうなるかと……。
って、電池切れかーい!!
【終演】