- 語り(かたり)
- ねこくん……げんきいっぱいな男の子
- うさぎさん……お花がだいすきなやさしい女の子
- かめさん……のんびりと おさんぽするのがすきな男の子
きょうも おひさまぽかぽか。とってもいいてんき。
「いいきぶんだな。きょうは、なにをしてあそぼう?」
ねこくんは、からだをぐぐーっとのばして、
あちらこちらをさんぽしていました。
そのうちに、日あたりのいい原っぱについて、
そこにおいてあった手ぐるまの中でひとやすみ。
「なんてきもちがいいんだろう。ちょっと おひるねしちゃおう」
ねこくんは、おひるねがだいすき。
ねころがって、ごろん。ごろごろ。
ねこくんは、のどもごろごろならします。
しばらくすると、草むらから カサカサと音がしました。
「なんだろう?」
音がするほうをみると、草むらから、
なが~い耳がふたつ見えました。
「こんにちは!」
ねこくんが こえをかけました。
びっくりしたようすで、ぴょこっと かおをだしたのは、
うさぎさんでした。
「こんにちは」
うさぎさんもごあいさつ。
「なにをしているの?」
ねこくんがたずねました。
「草やお花を あつめているのよ」
うさぎさんがこたえます。
「あつめてどうするの?」
「お花でかんむりをつくるのよ。
とってもたのしいの」
「お花でかんむり?」
「そうよ。いまつくってあげるね」
そういうと、うさぎさんは草花をおりこんで、
わっかをつくりました。
「ほら、これが花かんむりよ。きれいでしょう?」
うさぎさんは、ねこくんのあたまに
花かんむりをのせてあげました。
「わぁ、すごい!」
「もう少し おおきくつくれば、くびかざりにもなるのよ」
そういって、うさぎさんは、もうひとつ、つくりはじめました。
「ほら、できた。すてきでしょう?」
「すごいや!」
ねこくんはびっくり。
「ねこくんもつくってみる?」
「ええ?ぼくに できるかなあ?」
「できるわよ。わたしがおしえてあげる」
「ほんとう?ありがとう!」
ねこくんは うさぎさんにおしえてもらって、
花かんむりをつくることができました。
「やったぁ!できたぁ!」
「ねこくん、とっても上手!」
「うさぎさんがおしえてくれたからだよ。
いつもひとりであそんでいるから、
こんなことができるなんてしらなかった!」
「わたしたち、お友だちになりましょうよ。
そうしたら、おしえあいっこができて、
いろんなあそびができるとおもうわ」
「うれしいな。うん、友だちになろう!」
こうして、ねこくんとうさぎさんは友だちになりました。
「ぼくがつくった花かんむりを だれかにあげたいな」
「そうね。だれがいないかしら」
「だれかこの原っぱであそんでいないかなぁ。
あ、あの石の上にのって、さがしてみようよ!」
ねこくんとうさぎさんは、石の上にのって、
原っぱを みわたしました。
「う~ん、いないね」
「いないわね」
すると、のんびりした声(こえ)が どこかからきこえてきました。
「ここに、ぼくがいるよ」
ねこくんとうさぎさんは、
声がするほうをさがしてみましたが、みつかりません。
「ここだよ。きみたちの下にいるよ」
ふたりが、石だとおもって のっていたのは、
かめさんでした。
「わぁ、びっくりした!」
「ごめんなさい。かめさんだったのね」
ふたりはすぐにおりて、あやまりました。
「だいじょうぶだよ。
ぼくのせなかは とっても じょうぶだから」
「石とまちがえて ごめんね」
「だいじょうぶ。ぼく、よくまちがえられるんだ」
「ここでなにをしていたの?」
「おひさまをあびていたんだよ」
「ぼくも ひなたぼっこだいすき!」
ねこくん、うさぎさん、かめさんはすぐにお友だちになりました。
「そうだ。さっきつくった花かんむりを、
かめさんにあげるよ」
ねこくんが、かめさんにプレゼントしました。
「ありがとう。
あれ、でも、ぼくの頭には大きすぎるみたい」
「わたしが なおしてあげるわ」
うさぎさんが、かめさんの頭にあうように、
花かんむりをなおしてあげました。
「これでみんなおそろいね」
みんなとってもうれしそう。
「ほかのあそびもしようよ。ぼくは、木のぼりできるんだ」
「わたしは 木のぼりできないわ。どうしましょう」
「ぼくもできないなぁ」
「じゃあ、かくれんぼは?」
「わたしは、穴をほって かくれるのはとくいよ」
「ぼくは、体がおおきいから、すぐみつかっちゃうよ。
でも、頭ならかくせるよ。」
そういうと、かめさんは、首を せなかのこうらに
ぐぐぐ~とかくしました。
「うわぁ、すごい!」
ふたりはびっくり。
でも、これでは、かくれんぼも むずかしそう。
みんなで いっしょうけんめい かんがえます。
「う~ん、なにしてあそぼうか?」
「かけっこにしようよ」
「わたし、かけっこ大すき。
ジャンプもとくいよ!ほら!」
うさぎさんが高くとんでみせました。
「すごいや!ぼくもジャンプはとくいだよ。
そうだ、むこうの木までかけっこして、
ジャンプして木にのぼろうよ」
ねこくんとうさぎさんは、げんきに走りだしました。
すると、とおくから かめさんの声がきこえてきました。
「ちょっとまってー!」
ねこくんとうさぎさんは とまって ふりかえりました。
「かめさーん、はやくおいでよー」
「かめさん、どうしたの?もしかして走れないの?」
「ぼく、ふたりのように、はやく走れないんだ」
「そうなんだ。う~ん…。
あ、そうだ!むこうに、手ぐるまがあったよ。
あれにのせてあげるよ」
ねこくんが 手ぐるまを もってきました。
うさぎさんとねこくんは、ふたりで力をあわせて、
かめさんを手ぐるまにのせてあげます。
「よいしょ。よいしょ」
「おもくてごめんね」
「だいじょうぶだよ。
よーし、のれたね。じゃあ、ひっぱるよー!」
そういうと、ねこくんとうさぎさんは、
手ぐるまを いきおいよく がらがらがら~!と、
ひっぱって走りだしました。
「うわあ~。目がまわる~」
「たいへんだ!かめさんがぐったりしちゃった」
「かめさん、ごめんなさい!」
「うう~ん。すこし やすんでもいいかな」
ねこくんとうさぎさんは、
どうやったら、三人であそべるか、
いっしょうけんめい かんがえました。
「ふぅ……。ふたりとも、ぼくのせなかにのってよ。
二人をのせて歩いてあげる」
「かめさんのせなかに? ぼく、のりたい!」
「いいの?おもくない?」
「もちろんだよ。さぁ、のって」
かめさんが、ねこくんとうさぎさんをのせて、
ゆっくりゆっくり歩きだしました。
「わぁ、たのしい!
あ、みて! ちょうちょうがとんでいるわよ!
かわいい!」
「ほんとうだ!
あ、こっちには、たんぽぽがさいているよ!」
「ぼくのあしもとには、ありさんや、バッタさんもいるよ。
やぁ、こんにちは。」
「かめさん、力もちですごいな。
ぼくにはとてもできないや」
「わたしもできないわ。
ああ、かぜが、とってもきもちいい」
「ぼくはこうやって、ゆっくり たんけんするのが大すきなんだ」
「ぼくも たんけん、だいすき」
「わたしもだいすき!」
「ぼく、みんなとあそべて、とってもたのしいよ」
かめさんもとってもうれしそう。
ねこくん、うさぎさん、かめさん。
みんないっしょにあそべてよかったね。
【おしまい】
約10~15分
2024.11.16加筆修正