童話「みんないっしょに」【朗読】

・ねこくん
・うさぎさん
・かめくん

※約10分
#オンリーONEシナリオ2022 1月
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きょうも おひさまぽかぽか。とってもいいてんき。

「いいきぶんだな。きょうは、なにをしてあそぼう?」

ねこくんは、からだをぐぐーっとのばして、あちらこちらをさんぽしていました。

そのうちに、日当たりのいい原っぱについて、そこにあった手ぐるまの中でひとやすみ。

「なんてきもちがいいんだろう。ちょっとおひるねしちゃおう」

ねこくんは、おひるねがだいすき。

ねころがって、ごろん。ごろごろ。

ねこくんは、のどもごろごろならします。

しばらくすると、草むらからカサカサとおとがしました。

「なんだろう?」

音がするほうをみると、草むらから、ながい耳がふたつみえました。

「こんにちは」

ねこくんが こえをかけました。

びっくりしたようすで、ぴょこっとかおをだしたのは、うさぎさんでした。

「こんにちは」

うさぎさんもごあいさつ。

「なにをしているの?」

ねこくんがたずねました。

「草花をあつめているのよ」

うさぎさんがこたえます。

「あつめてどうするの?」

「花かんむりをつくるのよ。とってもたのしいの」

「花かんむり?」

「そうよ。いまつくってあげるね」

そういうと、うさぎさんは草花をおりこんで、わっかをつくりました。

「ほら、これが花かんむりよ。きれいでしょう?」

うさぎさんは、ねこくんのあたまに、花かんむりをのせてあげました。

「わぁ、すごい!」

「もう少し おおきくつくれば、くびかざりにもなるのよ」

そういって、うさぎさんは、もうひとつ、つくりはじめました。

「ほら、できた。すてきでしょう?」

「すごいや!」

ねこくんはびっくり。

「ねこくんもつくってみる?」

「ぼくに できるかなあ?」

「できるわよ。わたしがおしえてあげる」

「ほんとう?ありがとう!」

ねこくんは うさぎさんにおしえてもらって、花かんむりをつくることができました。

「やったぁ!できたぁ!」

「ねこくん、とってもしょうず!」

「うさぎさんがおしえてくれたからだよ。いつもひとりであそんでいるから、こんなことができるなんてしらなかった!」

「わたしたち、お友だちになりましょうよ。そうしたら、おしえあいっこができて、いろんなあそびができるとおもうわ」

「そうだね。友だちになろう!」

こうして、ねこくんとうさぎさんは友だちになりました。

「ぼくがつくった花かんむりを だれかにあげたいな」

「そうね。だれがいないかしら」

「だれかこの原っぱであそんでいないかなぁ。あ、あの石の上にのって、さがしてみようよ!」

ねこくんとうさぎさんは、石の上にのって、原っぱを みわたしてみました。

「う~ん、いないね」

「いないわね」

すると、のんびりした声がどこかからきこえてきました。

「ここに、ぼくがいるよ」

ねこくんとうさぎさんは、声がするほうをさがしてみましたが、みつかりません。

「ここだよ。きみたちの下にいるよ」

ふたりが、石だとおもってのっていたのは、かめさんでした。

「わぁ、びっくりした!」

「ごめんなさい。かめさんだったのね」

ふたりはすぐにおりて、あやまりました。

「だいじょうぶだよ。ぼくのせなかはとてもじょうぶだから」

「ここでなにをしていたの?」

「おひさまをあびていたんだ」

「ぼくも ひなたぼっこだいすき」

ねこくん、うさぎさん、かめさんはすぐにお友だちになりました。

「そうだ。さっきつくった花かんむりを、かめさんにあげるよ」

ねこくんが、かめさんにプレゼントしました。

「ありがとう。あれ、でも、ぼくのあたまには大きすぎるみたい」

「わたしが なおしてあげるわ」

うさぎさんが、かめさんのあたまにあうように、なおしてあげました。

「これでみんなおそろいね」

みんなとってもうれしそう。

「ほかのあそびもしようよ。ぼくは、木のぼりできるんだ」

「わたしは 木のぼりできないわ。どうしましょう」

「ぼくもできないなぁ」

「じゃあ、かくれんぼは?」

「わたしは、穴をほってかくれるのはとくいよ」

「ぼくは、体がおおきいから、すぐみつかっちゃうよ。でも、くびならかくせるよ。」

そういうと、かめさんは、くびを せなかのこうらに かくしました。

「うわぁ、すごい!」

ふたりはびっくり。

でも、かくれんぼもむずかしそう。

「う~ん、なにしてあそぼうか?」

「かけっこにしようよ」とねこくん。

「かけっこ大すき。わたし、ジャンプもとくいよ!ほら!」

うさぎさんが高くとんでみせました。

「すごいや!ぼくもジャンプはとくいだよ。よーし、むこうの木までかけっこしようよ」

ねこくんとうさぎさんは、げんきにはしりだしました。

すると、とおくから かめさんの声がきこえてきました。

「ちょっとまってー」

ねこくんとうさぎさんは とまって ふりかえりました。

「かめさーん、はやくおいでよー」

「かめさん、どうしたの?走れないの?」

「ぼく、ふたりのように、はやく走れないんだ」

「そうなんだ。そうだ!さっき、手ぐるまがあったよ。あれにのせてあげるよ」

ねこくんが 手ぐるまをもってきました。

ふたりで、かめさんを手ぐるまにのせてあげます。

「よいしょ。よいしょ」

「おもくてごめんね」

「だいじょうぶだよ。よーし、のれたね。じゃあ、ひっぱるよー!」

そういうと、ねこくんとうさぎさんは、手ぐるまをいきおいよく がらがらがら~!と、ひっぱってはしりだしました。

「うわあ~。目がまわる~」

「たいへんだ!かめさんがぐったりしちゃった」

「かめさん、ごめんなさい!」

ふたりはどうやったら、三人であそべるか、かんがえました。

「ふぅ……。ふたりとも、ぼくのせなかにのってよ。二人をのせて歩いてあげる」

「ぼく、のりたい!」

「いいの?」

「もちろんだよ」

かめさんが、ねこくんとうさぎさんをのせて、ゆっくりゆっくり歩きだしました。

「わぁ、たのしい!あ、ちょうちょがとんでいるわよ!きれい!」

「ほんとうだ!こっちには、たんぽぽがさいているよ!」

「ぼくのあしもとには、ありさんや、バッタさんもいるよ。こんにちは。」

「かめさん、力もちですごいな。ぼくにはとてもできないや」

「わたしもできないわ。かぜが、とってもきもちいいわ」

「ぼく、こうやって、ゆっくり たんけんするのが大すきなんだ」

「ぼくもたんけん、だいすき」

「わたしも!」

「みんなとあそべて、とってもたのしいよ」

かめさんもとってもうれしそう。

みんないっしょにあそべてよかったね。


【おしまい】