シンデレラシリーズ1
1.シンデレラと二人の王子
2.シンデレラと二人の魔女
3.白雪姫とサムライ
4.シンデレラと二人のプリンセス
5.シンデレラの夢(完結)
【登場人物】[0:1:2]
・シンデレラ:二人の王子に振り回される。兼ナレーション
・デレンツ王子(双子):ウルトラめんどくさいツンデレ
・ルナシス王子(双子):スーパーうざいナルシスト
※約30~40分。アドリブOK、ミュート禁止。
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N:今宵はお城で舞踏会。
シンデレラの姉たちは着飾って出ていくものの、
シンデレラにはドレスがありませんでした。
シンデレラの姉たちは着飾って出ていくものの、
シンデレラにはドレスがありませんでした。
舞踏会に行きたがるシンデレラを、魔法使いのおばあさんが助け、
かぼちゃの馬車に乗り、無事お城に着くことができました。
かぼちゃの馬車に乗り、無事お城に着くことができました。
【舞踏会BGM】
シンデレラ(М):はじめての舞踏会。
ドレスも何もなかった私が、あの魔法のおかげで、
まさかお城に来ることができるなんて夢のよう……
ドキドキするわ。
でも、この姿も12時まで。約束は絶対守らなくっちゃ。
ドレスも何もなかった私が、あの魔法のおかげで、
まさかお城に来ることができるなんて夢のよう……
ドキドキするわ。
でも、この姿も12時まで。約束は絶対守らなくっちゃ。
ー城内へはいるシンデレラ
シンデレラ(М):ああ、なんて素敵なの。
なにもかもが眩しいわ。こんなところで素敵な王子様と出会えたら……。
でも、私、ダンスもしたことはないし、どこにいたらいいのか……。
―舞踏会の様子を伺うシンデレラ
なにもかもが眩しいわ。こんなところで素敵な王子様と出会えたら……。
でも、私、ダンスもしたことはないし、どこにいたらいいのか……。
―舞踏会の様子を伺うシンデレラ
美しいお姫様がいっぱい。
せっかく来られたけど、私なんかがここにいても……
せっかく来られたけど、私なんかがここにいても……
ーオロオロしているところ、人にぶつかる。
シンデレラ:あ!!も、申し訳ございません!
デレンツ:なんだお前は、ふらふらと。(ジロジロ)
ほぉ、場慣れしてないようだな。
しかし……(ジロジロ)
しかし……(ジロジロ)
ふむ。俺が踊ってやってもいい。断ることなど許されない。
シンデレラ:ええ?
シンデレラ(M)素敵な方だけど、態度が横柄……
この方はいったい……
デレンツ:さぁ、こっちへ来るのだ!
シンデレラ:ちょっ……、ちょっと待ってください!
ー踊るデレンツとシンデレラ
【BGMを大きめにして踊っているような雰囲気に。その後、小さくする】
デレンツ:どうだ、俺と踊れて満足だろう。
シンデレラ:あ、ありがとうございました。
デレンツ:お前の名前を教えろ。
シンデレラ:わたしは「シンデレラ」と申します。
デレンツ:なるほど?
シ、シシシシンデレ…(照れて言えない)
シ、シシシシンデレ…(照れて言えない)
わかった。覚えておこう。
じゃあな、プリンセス!
じゃあな、プリンセス!
シンデレラ:あ、あなたは……!
行ってしまわれたわ。
びっくりした。いきなりダンスなんて……
少し強めだったけど、ちゃんとエスコートしてくださった。
ああ、ドキドキがとまらない。
少しどこかで休めないかしら。
少しどこかで休めないかしら。
―休む場所を探すシンデレラ
ルナシス:おや、お嬢さん、気分でも悪いのかな?
シンデレラ:え?い、いえ、大丈夫です。どうぞお構いなく。
あら?さきほどの方ですか…?
ルナシス:なにを言っているんだい?
いま、美しい僕と、美しい君の「運命の出会い」の瞬間じゃないか!
いま、美しい僕と、美しい君の「運命の出会い」の瞬間じゃないか!
僕の名前は「ルナシス」
この国で、いや、世界で一番美しい王子だ!
この国で、いや、世界で一番美しい王子だ!
シンデレラ:王子様?!
それは大変ご無礼なことを!
し、失礼いたします!
それは大変ご無礼なことを!
し、失礼いたします!
―腕をつかまれるシンデレラ
ルナシス:おっと、逃がさないよ。君の名前を聞かせてほしいな。
シンデレラ:さきほども申し上げましたが……
「シンデレラ」と申します。
ルナシス:シンデレラ!
ああ、シンデレラ!僕のハートに刻み込んでおこう!
ああ、シンデレラ!僕のハートに刻み込んでおこう!
シンデレラ(M):どういうことかしら。
先程の方とお顔はそっくりだけれど、服装も態度も違う……。
先程の方とお顔はそっくりだけれど、服装も態度も違う……。
ルナシス:僕の名前はもう覚えたね。さぁ言ってごらん?
シンデレラ:ル、ルナシス様
ルナシス:そう!その通りだ!さぁ、踊ろう!
シンデレラ:ええ!またですか?さっきも踊りましたぁぁああっ!!
ー踊るルナシスとシンデレラ
【間】
シンデレラ:(息切れ)ちょっ……、も、申し訳ありません……(咳き込む)
す、少し、休ませていただいてもよろしいでしょうか(息切れ)
ルナシス:なぜだい?僕は君となら一晩中でも踊れるよ。
シンデレラ:(息切れ)お、王子様は舞踏会に慣れていらっしゃると思いますが、
わたしは、はじめてなので。
もう、かれこれ3時間近く踊り続けているのではないかと……
わたしは、はじめてなので。
もう、かれこれ3時間近く踊り続けているのではないかと……
え、3時間…?
いけない!もうすぐ12時だわ!帰らなくちゃ!
ルナシス:どうしたんだい?シンデレラ!
シンデレラ:あの、本日は大変楽しませていただきました!
12時までと約束してありますので、これで失礼いたします!
ルナシス:待って!こんなに美しい僕を置いていくのかい?!
デレンツ:どこに行くんだ!プリンセス!
シンデレラ:え、えええええ?!王子様が二人いる?!
どういうこと?
どういうこと?
【SE 鐘の音】
シンデレラ:ああ、ダメ!時間がない!
ー階段を駆け下りる
シンデレラ:あ! 靴が!!
ー探しに来る二人の王子
ルナシス:シンデレラ、キミはなんて足が速いんだ。アスリートなのか?
ドレスを来てこの階段を駆け下りるなんて、素晴らしい。
ドレスを来てこの階段を駆け下りるなんて、素晴らしい。
デレンツ:なぜ俺に挨拶なしに帰ってしまったのだ!!
ん?
この靴は………
ん?
この靴は………
ルナシス:(デレンツから靴をとる)っ!!
なんて美しい靴なんだ。
彼女にピッタリだ。
なんて美しい靴なんだ。
彼女にピッタリだ。
デレンツ:(ルナシスから靴をとる)っ!!
返せ、ルナシス!これは俺のだ!
返せ、ルナシス!これは俺のだ!
ルナシス:なんだ?デレンツ。
珍しいな。お前がそんな態度を見せるとは……
そうか。
さては、彼女に惚れたな?
デレンツ:そ、そそそんなことはない!
ルナシス:僕は彼女に決めたよ。
必ず僕のプリンセスとして迎え入れてみせる。
必ず僕のプリンセスとして迎え入れてみせる。
デレンツ:ぐっ……
ルナシス:いいんだよね?
デレンツ:ルナシス……
勝負だ。
ルナシス:そう来なくっちゃ。
よし、どっちが先に彼女を落とすか勝負だ。
よし、どっちが先に彼女を落とすか勝負だ。
デレンツ:ああ。
【間】
N:次の日
シンデレラ:ああ、昨日は本当にびっくりした。
王子様がふたりいらっしゃったなんて。
王子様がふたりいらっしゃったなんて。
ご兄弟なのかしら。
それとも、お顔はそっくりだったから、双子とか……?
それとも、お顔はそっくりだったから、双子とか……?
お二人とも魅力的な王子様だったけど、ちょっと癖がありすぎる。
ガラスの靴の片方を置いてきてしまったけど、
もう会うこともないでしょうから、一夜(ひとよ)の夢だったと思うことにして、
いつも通りお掃除、洗濯に励みましょ。
お義母さまやお姉さまにはつらくあたられるけど、
それなりになんとかこなしているわ。
高望みはだめね。
【間】
【SE 馬の歩く音】
ー家来をつれているデレンツ、シンデレラの家を見つける
デレンツ:ここか……。
お前たちよくやった。
お前たちよくやった。
やはり、プリンセスの家を見つけたのは、あいつより俺のが先だったな。
……しかし、なんとも小さな家だな。
……しかし、なんとも小さな家だな。
―勝手に入ってくる
失礼する!
シンデレラ:え……?あっ!お、王子様。まさか!
こんな辺鄙(へんぴ)なところにいらしてよろしいのですか?
デレンツ:気にするな。
シンデレラ:せめてお忍びで町にいらっしゃるとか……
デレンツ:俺はそんな器の小さい男ではない。
シンデレラ:いえ、そういうことではなく……
デレンツ:なんだ?セキュリティの心配をしているのか。
それならば、俺にはいつでもかけつけてくる「アルソック」がついている。
それに俺は強い。まったく問題ない!!
それならば、俺にはいつでもかけつけてくる「アルソック」がついている。
それに俺は強い。まったく問題ない!!
シンデレラ:アル?ソッ…?そ、そうですか……。
ええと、ところで、王子様は「ルナシス」様でいらっしゃいますか?
デレンツ:あ、あ、あ、あんなナルシスト野郎と一緒にするな!
なぜあいつと双子なのか。まったくもって不愉快だ!
なぜあいつと双子なのか。まったくもって不愉快だ!
シンデレラ:双子だったのですね。
存じ上げませんで、大変失礼いたしました。
では、あなた様のお名前は……
存じ上げませんで、大変失礼いたしました。
では、あなた様のお名前は……
デレンツ:俺の名前は、国中の者が知っているはずだが、
あえて言おう「デレンツ」と!
そして、あえて言おう、ルナシスは、カスであると!!
シンデレラ:デレンツ様
デレンツ:……っ!!(かわいっ
そ、そ、そういえば、昨晩は、なぜ俺に挨拶もなしに勝手に帰った。
シンデレラ:申し訳ありません。
12時までと約束してあったものですから。
12時までと約束してあったものですから。
デレンツ:ふむ。約束を守るタイプか……
嫌いじゃない。
シンデレラ:はぁ。ありがとうございます。
デレンツ:ああ、そうだ。
あ~……、これは、その~、お前の靴か。
シンデレラ:あ!そうです。昨日片方を落としてしまって。
もしや、わざわざ届けにきてくださったのですか?
ありがとうございます!
ありがとうございます!
デレンツ:ま、まぁ?気にするな。
そ、そうだな……、な、なかなかいいセンスをしているな。
そ、そうだな……、な、なかなかいいセンスをしているな。
ドレスもヘアスタイルも……
いや、俺の方がセンスがいいがな!
シンデレラ:おそれいります。
ですが、あの時はなんといいますか、たまたま、その……
デレンツ:言い訳は必要ない。俺は細かいことは気にしない。
シンデレラ:あ、あの…、失礼かと思いますが、お茶でもいかがでしょうか。
靴をわざわざ持ってきてくださったお礼と言いますか……
私、さきほど焼き菓子を作りましたので。
デレンツ:て、手作りスイーツか……。
いただこう。
シンデレラ:お口に合わないと思いますが、こちらでございます。
デレンツ:ふむ(食べる)
こ、これは……
こ、これは……
シンデレラ:やはり、お口に合いませんでしたか?
申し訳ありません!
申し訳ありません!
デレンツ:い、いや、うまい(ぼそ)
シンデレラ:え?
デレンツ:「美味い」と言っているのだ!何度も言わせるな!
シンデレラ:申し訳ございません。あ、ありがとうございます!
デレンツ:あ、ああ~、その~、ええと……
そうだ!!
僕の馬でも見るか?
僕の馬でも見るか?
シンデレラ:え?
デレンツ:さあ、こっちだ
―ぐいっとシンデレラを外へ連れていく
―ぐいっとシンデレラを外へ連れていく
シンデレラ:あ!(引っ張られる)
デレンツ:見たまえ。これが俺の馬だ。
シンデレラ:黒い馬……
毛並みがつやつやして、とてもりりしいですわ。
王子様にぴったりな素晴らしい馬です!
王子様にぴったりな素晴らしい馬です!
デレンツ:りりしい…?りり……
あ、ああ……
あ、ああ……
そ、そんなことはない、ことはない、ことはない。いやある!!
(ぼそぼそ言うものの、言い切る)
シンデレラ:とても素晴らしいです。この馬の名前はなんですか?
デレンツ:「デレンツ・アクヤク・ネクロマンサー・リーゼロッテ」だ。
シンデレラ:え?アクヤク?ネクロマンサー?…え?
デレンツ:とにかく!
今日は、その靴を返しに来ただけだ。
「落とし物は交番に」とも思ったが、気にしているだろうと思ってな。
べ、別にお前に会いに来たわけではないぞ!
勘違いするなよ!!!
シンデレラ:はぁ…。ありがとうございます。
デレンツ:まぁ、その、なんだ。今日のところは失礼する。
その焼き菓子をまた食べにきてやる。
しっかり作っておくんだな!
しっかり作っておくんだな!
シンデレラ:わ、わかりました。
ーデレンツ退場
シンデレラ:びっくりした。まさか、王子様がいらっしゃるなんて……
ルナシス:やぁ、シンデレラ!
シンデレラ:え、ルナシス様?どうされたんですか?
さきほど、デレンツ様がいらしてちょうど帰られたところですが。
ルナシス:もちろん知っているよ。あいつの後をついてきたんだ。
ほら、あの馬で。美しい僕の馬だよ。見てごらん。
シンデレラ:ああ、白馬!なんて美しいんでしょう!
ルナシス:そうだろう!そうだろう!
そう僕にしか、そう、この「僕にしか」似合わない美しすぎる愛馬だ。
いや、僕の方が美しいか!ハハハハハ!!!
そう僕にしか、そう、この「僕にしか」似合わない美しすぎる愛馬だ。
いや、僕の方が美しいか!ハハハハハ!!!
名前は、「ルナシス・ホワイトタイガー・ローズマリー」さっ!
シンデレラ:聞いてないのに……。
なんだか、いろいろ混ざったお名前ですのね。
競馬、あ、いえ。
でも、まさに白馬の王子様です。
ルナシス:その通り!僕は!あの!あの!白馬の王子だ!!!
どうだ、美しいだろう!!
シンデレラ:は、はい。
ルナシス:さて、中に入って、ちょっと鏡をみてもいいかい?
馬に乗るのは気持ちがいいが、ヘアスタイルが乱れるのはたまにキズだ。
馬に乗るのは気持ちがいいが、ヘアスタイルが乱れるのはたまにキズだ。
シンデレラ:え、ちょっ…!!
ルナシス:なんだい、ここは。クローゼットかな?
シンデレラ:リビングルームです!
ルナシス:鏡はきれいに磨いてあるね。
僕の顔がさらに輝いてみえるよ。
僕の顔がさらに輝いてみえるよ。
シンデレラ:ありがとうございます。
って喜んでいいのか、わからない!
って喜んでいいのか、わからない!
ルナシス:うーん、やはり、今日の僕も一段と美しい。
鏡が嫉妬しているよ。
鏡が嫉妬しているよ。
シンデレラ:どういうこと……?
ルナシス:もちろん、君もだよ。シンデレラ。
シンデレラ:(引き気味)ありがとうございます
ルナシス:おや?これは?
シンデレラ:あ、それは私が作りました、焼き菓子です。
ルナシス:なるほど?
ふむ(食べる)
ふむ(食べる)
これは……、最高だ!
僕への愛がつまった味がする!
シンデレラ:そうですか?
ルナシス:これはすべて僕へのプレゼントだね。
喜んでいただくよ。
シンデレラ:気に入っていただけたのでしたら、はい。
ルナシス:さて、君の家もわかったし、今日はこれで失礼するよ。シンデレラ。
シンデレラ:いえ、あの、ご無理なさらずとも大丈夫ですので。
ルナシス:君は照れ屋なんだね。かわいいな。
でも、恥ずかしがることなんてひとつもない。
なぜなら!僕が美しいからさ!!!
でも、恥ずかしがることなんてひとつもない。
なぜなら!僕が美しいからさ!!!
シンデレラ:よくわかりませんが……
ルナシス:それでは、美しいシンデレラ!
また明日も来るからね。
この眩しすぎる僕がっ!!
また明日も来るからね。
この眩しすぎる僕がっ!!
シンデレラ:はぁ……
N:次の日
デレンツ:よぉ。通りがかったから寄ってやったぞ。ありがたく思え。
シンデレラ:あ…いえ、あの、はい。ありがとうございます。
焼き菓子でしたら作りましたので、どうぞお持ち帰りください。
デレンツ:……あ、ありがとう(ぼそ)
い、いや。よくやった。
い、いや。よくやった。
しかし、なぜお前が掃除なんかしているんだ?
そんなことは、召し使いにやらせればいいだろう。
シンデレラ:いえ、これが私の仕事なんです。
デレンツ:埃まみれになってしまうじゃないか!
シンデレラ:いいんです。わたし、掃除が好きなので。
デレンツ:仕方ない。じゃあ、この「ダイソン」を使いたまえ。
シンデレラ:なんですかそれ!
デレンツ:充電はしといたから、すぐ使える。
シンデレラ:え、え、ちょっと待ってください。
これ、置いていかないでください!
これ、置いていかないでください!
見つかったら、お義母さまやお姉さまに怒られてしまいます!
デレンツ:気にするな!じゃあ、またな。
シンデレラ:気にします!
……ああ、もう。
行ってしまわれたわ。どうしましょう。
……ああ、もう。
行ってしまわれたわ。どうしましょう。
「ダイソン」って……、なに?
ルナシス:やぁ、シンデレラ!
シンデレラ:ルナシス様?どうされたのですか?
ルナシス:もちろん、君に会いに来たのさ!
他にどんな理由があるというんだい?
他にどんな理由があるというんだい?
シンデレラ:ええ~…
ルナシス:おや、これは?
シンデレラ:これは先ほどデレンツ様がいらして、置いていかれたものです。
掃除道具のようなのですが、どう使ったらよいのかわかりません。
掃除道具のようなのですが、どう使ったらよいのかわかりません。
ルナシス:ハッハッハッ!
センスのかけらもない男だな!!
センスのかけらもない男だな!!
そんなものより、こっちの方がおすすめだよ。
「ルンバ」♪
さあ!踊ろう!シンデレラ!
シンデレラ:はい?
ちょっと待って!ちょっと待ってください!
「ルンバ」って何ですか?
ちょっと待って!ちょっと待ってください!
「ルンバ」って何ですか?
ルナシス:うーん、やはりクローゼットで踊るのは狭くて仕方ないな。
シンデレラ:リビングルームですってばっ!
ルナシス:今週末、舞踏会がある。その時に、また踊ろう。
シンデレラ:行きません。行きませんから!
ルナシス:今日も、美し~い僕と会えて満足だろう?
じゃあ、迎えをよこすから、美しいこの僕と一晩中踊りあかそうじゃないか。
シンデレラ:すみませーん!わたしの話を聞いてください。
行きません。行けないんです!
ルナシス:おや、なぜだい?
シンデレラ:わたし、実はドレスや靴を持っていないんです。
ルナシス:なんだ、あれは借り物だったのか。
気にすることはないよ!
気にすることはないよ!
任せたまえ、使いの者に一番上等なドレスを用意させよう!
いや、センスが最高にいい「この僕」が選んだ方がいいな!!
シンデレラ:それは困ります!
それと、この「ルンバ」ってなんですか?
ルナシス:ああ、充電しといたから、すぐ動くよ。ほら。
シンデレラ:わぁ、本当!
…って、なんで勝手に動いてるんですかー!
…って、なんで勝手に動いてるんですかー!
こわいです!
ルナシス:掃除が終われば、僕と同じで賢いから自分で家に帰るよ。
シンデレラ:どーゆーこと?ねぇ、どーゆーこと?
ルナシス:さて、そうと決まれば城に戻って、コーディネートしてこよう。
楽しみに待っていてくれよ、僕のシンデレラ。
シンデレラ:すいません、「ダイソン」と「ルンバ」持って帰ってください!
……また行っちゃった。なんなの、あの二人。
あと、これどうするの。
「ルンバ」ずっと動いてるし……
「ルンバ」ずっと動いてるし……
こわい………
ああ!!
しかも、外に、
「デレンツ・アクヤク・ネクロマンサー・リーゼロッテ」と
「 ルナシス・ホワイトタイガー・ローズマリー」の落とし物が!!
「 ルナシス・ホワイトタイガー・ローズマリー」の落とし物が!!
も~~、仕事増やさないでくださいよ~!!
N:また次の日ー
デレンツ:おはよう。プリンセス。
シンデレラ:デレンツ様。おはようございます。
今日はまたお早いんですね。
今日はまたお早いんですね。
デレンツ:朝一(あさいち)会いたくなって……(咳払い)
ばかもの!に、に、日課の散歩だ!
ばかもの!に、に、日課の散歩だ!
シンデレラ:すごく目立つお散歩ですね。
でも、今日も「デレンツ・アクヤク・ネクロマンサー・リーゼロッテ」の
艶(つや)やかでりりしい姿に、惚れ惚れしますわ。
でも、今日も「デレンツ・アクヤク・ネクロマンサー・リーゼロッテ」の
艶(つや)やかでりりしい姿に、惚れ惚れしますわ。
デレンツ:り、りりしい?
あ、ありがとう(ぼそ)
あ、ありがとう(ぼそ)
シンデレラ:まぁ落とし物もありましたけど(ぼそ)
デレンツ:なんだ?
シンデレラ:いえ、なんでもありません。
あ!そうですわ。あの、ダイソン?
あ!そうですわ。あの、ダイソン?
四苦八苦して使ってみたのですが、もう動かなくなってしまいました。
デレンツ:使ってくれたのか~~……
お前は素直だな。
す、す、好き……、いや嫌いではない!
シンデレラ:ですので、持って帰ってくださるとありがたいのですが……
デレンツ:また充電してきてやろう。
お、お前のためじゃないからなっ!
お、お前のためじゃないからなっ!
シンデレラ:いえ、もう大丈夫ですので。
それよりこんなに早い時間に……。
デレンツ様、国務のほうは?
デレンツ:だらだらとやるのは愚か者のすること。
俺は朝一にすべて終わらせておく。
将来、国王となるために当然なすべきことだ。
俺は朝一にすべて終わらせておく。
将来、国王となるために当然なすべきことだ。
シンデレラ:さすがですわ。
やはり、将来国王となる資質がおありですね。
やはり、将来国王となる資質がおありですね。
デレンツ:そ、そうだろう。
あー、だが、そ、そのためにはだなっ、
その、俺を支えてくれる妃だなっ
必要だなっ!
だな!
シンデレラ:そうですわね。内助の功。これは重要です。
デレンツ:だから、俺の……(咳払い)
ああ、そ、そーいえば、散歩をしていたら花が落ちていたぁぁ。
これをお前にやろう。
シンデレラ:まぁ綺麗な白いバラ!ありがとうございます!
デレンツ:女性はバラが好きと聞くからな。
シンデレラ:私、お花はみんな大好きです♪
デレンツ:そうか。……かわいい(ぼそ)
あ、いや!
なんだ、そのー、
なんだ、そのー、
し、白いバラの花言葉を知っているか?
シンデレラ:いえ、なんでしょう。
デレンツ:(ものすごく小さな声&早口で)「私はあなたにふさわしい」
シンデレラ:はい?もう一度教えていただけますか?
デレンツ:一度で聞き取れ!
シンデレラ:申し訳ございません……
デレンツ:いやぁ、それにしても、バラを拾っていたら、なかなかの量だった。
バラとはこんなに道端に落ちているものなのか。
ハッハー!
よし、すべてお前にやろう。
ハッハー!
よし、すべてお前にやろう。
ふむ。ただ、この家には入り切りそうにないな。
外においておくから、好きなだけ持っていくがいい。
シンデレラ:え、外?
えええええ!馬車10台分?!
こんなに、いりません!
デレンツ:バラの花で風呂にはいるといい。
肌がツヤツヤになって、また一段と美し……ゲホゲホ!
まったく問題ない。
いいか、確かに渡したぞ。
ではダイソンを充電したら、また持ってきてやる。
シンデレラ:あの、ほんとうにもう結構ですので……、
って、もういない!はやい!
どーするの、このバラ……
ーデレンツ退場
ルナシス:グッモーニン!マイプリンセス!
シンデレラ:ルナシス様……、もお散歩ですか?
ルナシス:君に会いにきたんだよ!
今日も、君も僕も美しいね!
シンデレラ:はぁ……
あの、ルナシス様は、国務の方は大丈夫なのでしょうか。
ルナシス:あんなものは、僕の美しいサインをすればいいだけだ!
ペンも、書類も大喜びさ!!
ペンも、書類も大喜びさ!!
シンデレラ:そうですか……
あ! あの「ルンバ」?
ようやく止まったので持って帰っていただけますか?
ようやく止まったので持って帰っていただけますか?
私はやっぱり、箒や水拭きで掃除するのが好きなんです。
ルナシス:今日は君にプレゼントがあるんだよ!さぁ。
シンデレラ:聞いてます?
ルナシス:ほうら!!
シンデレラ:あ、赤いバラ!綺麗……
ルナシス:花言葉は「あなたを愛してます」だよ。
ぴったりだね!
シンデレラ:はぁ……
ルナシス:おや?
この馬鹿みたいに、たくさんの白いバラはどうしたんだい?
シンデレラ:さきほど、デレンツ様からいただきまして。
ルナシス:またあいつか!
量があればいいってもんじゃない。
なんだ、棘もそのままじゃないか。
量があればいいってもんじゃない。
なんだ、棘もそのままじゃないか。
相変わらず、無粋(ぶすい)なやつだな。
まだ馬車にいれたままか。
あれは、そのまま引きあげさせることにするよ。
あれは、そのまま引きあげさせることにするよ。
シンデレラ:それは大変助かります。
ルナシス:バラは一本でも、気持ちは伝わるんだ。
ほら、髪につけると、とても似合うよ
(ぐいと近づく)
シンデレラ:っ!
ルナシス:やっぱり。
君の輝かんばかりのブロンドの髪にぴったりだ。
実に美しい。
シンデレラ:あ、ありがとうございます。
ち、近っ!近いっ…!
ルナシス:僕のブロンドヘアも、あの太陽より輝いているだろう?
シンデレラ:そうですわね……
ルナシス:じゃあ、また来るよ。シンデレラ。
シンデレラ:あの、お二人とも私をからかっていらっしゃるんでしょうか。
…って、もういない!はやい!
なんで?
はあ~~~~~~
はあ~~~~~~
ーここからテンポよく
N:そのまた次の日
デレンツ:プリンセス、夜の散歩のついでに寄ってやったぞ。
ルナシス:シンデレラ!今日もかわいいね!
シンデレラ:いえ、あの……
N:さらに次の日
デレンツ:昼の散歩もいいもんだな。
ど、ど、どうだぁ、僕の馬に乗ってみみみみみ、たいだろう?!
ルナシス:ボンジュール!僕の馬でドライブしないかい?
シンデレラ:けっこうです。
N:さらにさらに次の日
デレンツ:お前に似合いそうな首飾りを持ってきてやったぞ。
いまつけてやるrr……みろ。
ルナシス:シンデレラ!君のために作らせた指輪を持ってきたよ。
さぁ、左手の薬指をだして。
さぁ、左手の薬指をだして。
シンデレラ:なぜ左手の薬指……
N:そのまたさらにさらに次の日
デレンツ:ん?気分でも悪いのか。
バラの風呂には入っているのか?
バラの風呂には入っているのか?
そうか、もうバラの花がないんだな。
よし、いますぐ拾ってきてやろう!
ルナシス:おや、今日はちょっと疲れているようだね。
僕がマッサージをしてあげよう!
僕がマッサージをしてあげよう!
シンデレラ:すみません、そろそろ察してください……
デレンツ:待ってろよ!
あ、いや!
お前のためじゃないからな!
ルナシス:またくるよ!美しい僕が君のために!
シンデレラ:ああ、もうダメ!
シンデレラ:ああ、もうダメ!
お義母さまとお姉さまたちには申し訳ないけど、このままだと、私おかしくなる!
どうしたら……
そうだわ。
N:数日後、城の中では―
ルナシス:僕のプリンセスはいったいどこにいったんだ!
こんな美しい僕をおいていくなんて!
そうか、僕に見つけてほしいんだね。
わかったよ、シンデレラ!
絶対絶対見つけ出すよ!
デレンツ:いいか!国中の総力を掛けて、全力でシンデレラを探し出すんだ!
一番に見つけた者には、好きなだけ褒美をあたえる!!
ー山奥にいるシンデレラ
【SE 山奥の小鳥のさえずり】
シンデレラ:はぁ、全てを捨てて山奥に夜逃げして大正解だったわ。
やっぱり、王子様と結婚すれば幸せになれるなんて、ただの幻想ね!
私はもう少し「シングルライフ」をエンジョイしましょ♪
N:こうして、シンデレラは山奥の田舎町に引っ越し、
ようやく平穏な暮らしを手に入れたのでした。
めでたし、めでたし。
そして、シンデレラの苦難は続く。
【終演】
2025.2.16加筆修正
【続編】シンデレラと二人の魔女