【登場人物】[0:3]
・シンデレラ/N:19歳。苦労人。しっかり者。
・白雪姫:14歳。あざとかわいい。
・オーロラ姫:16歳。フィリップ王子のことがトラウマ。
【前回までのお話】
シンデレラは、双子の王子(ナルシストとツンデレ)のしつこい求婚から逃れ、山奥に引っ越す。今度は、白雪姫を殺そうとする魔女に白雪姫と間違えられるも撃退。
その後、フィリップ王子(昆虫オタク、マザコン、ポンコツ)と出会い、なぜかオーロラ姫を助けに行くことになり、フィリップ王子の祖母が仕組んだ猿芝居に付き合わされる。
結果的に、二人のプリンセスを助けた形になり、白雪姫とオーロラ姫に「お姉さま」と慕われ、二人は毎日シンデレラのところに遊びに来るようになるがー。正直、しんどい。
※アドリブOK。ミュート禁止。
※白雪姫もオーロラ姫も、時々言葉遣いが悪くなる。
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(N):はからずも、魔女の手から白雪姫とオーロラ姫を助けたシンデレラ。その後、二人に「お姉さま」と慕われるものの、元からプリンセスとして生まれ、世間知らずで無邪気な白雪姫とオーロラ姫に、少々振り回される日々。
白雪姫:こんにちは、シンデレラさん!
オーロラ姫:ごきげんよう、シンデレラさん!
シンデレラ:白雪姫にオーロラ姫、いらっしゃい。ちょっと待ってね、鍵を開けるから。
【SE 鍵をいくつも開ける音】
オーロラ姫:毎度、セキュリティ対策が厳重ですわね。
シンデレラ:はい、どうぞ、お入りくださいな。
白雪姫:今日もおじゃまいたしますわ!相変わらずの山小屋生活ですのね!なんだか安心いたしますわ。
オーロラ姫:ほんと!この狭さがなんとも言えませんわ!
シンデレラ:毎日のように来ているのに、毎回そのくだりは言うのね……
白雪姫:だってぇ、お城は広すぎ、ベッドも大きすぎ、食卓も廊下も長すぎ、天井高すぎぃ……
オーロラ姫:いつも誰かに付き添われて、作法(さほう)やら詩を読んだり、楽器を習ったり、他にもたくさん!
白雪姫:とっても息苦しいですぅ。
オーロラ姫:シンデレラさんのように、自由に生きたいですわ。
シンデレラ:……これ褒められてる?
シンデレラ:あと、もう「さん付け」はしなくていいわよ。「シンデレラ」と呼んでちょうだい。
白雪姫:でも、私、まだ14歳ですし……。
オーロラ姫:私も、16歳です。年上の方を呼び捨てするなんてそんなこと……
シンデレラ:ぐっ……
白雪姫:ですわよね?オーロラ姫。むしろ、私のことを「白雪ちゃん」と呼んでいただきたいです。
オーロラ姫:あら!それなら、私も「オーロラちゃん」と呼んでいただきたいですわ、シンデレラお姉さま!
シンデレラ:ええ、そ、そうね、私、19歳ですものね……。でも、お二人は生まれた時から、プリンセスですもの。やはり、敬意を払わないといけないかと……
オーロラ姫:いいえ!シンデレラお姉さまに助けていただいたといっても過言ではありません!
白雪姫:そうですわ。こうして、年が離れていても仲良くしてくださるなんて、なぁんて美しく、とぉってもたくましく、心の広~いお姉さまなんでしょう。私、憧れていたんです。そんなお姉さまがいたらなぁって。
シンデレラ:たくましく、はどうかしら……。りんごは握りつぶしたけど。でも、たしかに、私にもお義姉さまはいましたけど、「ああなってはいけない」と思ったわ。「反面教師」というものかしら。
白雪姫:ずっとご苦労されていたのですね。なんて、かわいそうなシンデレラお姉さま!
オーロラ姫:ほんとうですわ!「灰かぶり」と呼ばれていたんですって!酷すぎませんこと?
シンデレラ:ええ、まぁ……。
オーロラ姫:お姉さま、どうされました?
シンデレラ(M):この「キラキラした瞳」と「無邪気さ」。この子たち、悪気はないのよね……。
シンデレラ:(気を取り直して)ああ、そうだわ。紅茶と、焼き菓子はいかが?
白雪姫:わぁ、うれしい!どこの国のお茶ですの?
シンデレラ:茶畑があるのよ。
白雪姫:え、お取り寄せではなく?
シンデレラ:ええ、自分で育てた茶葉なの。
オーロラ姫:なんてこと!では、これは「シンデレラ」という名の紅茶ですのね!自給自足と聞いてはいましたが、そこまでとは……!これは売るしかありませんわよ?
シンデレラ:売らないわよ。商売にすると大変だし、それに……、見つかると大変なことになるし。
白雪姫:ああ、双子の王子様でしたかしら?
シンデレラ:そう。あの二人から逃げて、ここに落ち着いているの。
白雪姫:そうでしたわね……。お気の毒に。
シンデレラ:白雪ちゃんのように、命を狙われていたわけではないから、なんとか大丈夫よ。
シンデレラ:さ、どうぞ。召し上がれ。
白雪姫:ありがとうございます。(飲む)うわぁ、いい香り。とってもフルーティー!
オーロラ姫:それに、爽快感のある引き締まった渋み、深いコクのある味わい!まるで、シンデレラお姉さまのようですわね。
シンデレラ:そう?ありがとう。これに、このベルガモットのフレーバーを足すとー
オーロラ姫:アールグレイ!素敵!
白雪姫:これは!「アール・シンデレラ・ダージリン・グレイ」!
オーロラ姫:いいえ!「グレイ・シンデレラ・アール・ダージリン」!
シンデレラ:グレーゾーンのR指定みたいに聞こえるわね……
オーロラ姫:焼き菓子も、紅茶の香りがしますわ!
白雪姫:なぁんて美味しいんでしょう!私たち、本当に三姉妹みたい。楽しいですわ~。
オーロラ姫:ほんとね。お姉さまと妹ができて、うれしいですわ~。
シンデレラ:(呟き)どうして誰も話を聞かないのかしら……
シンデレラ:喜んでもらえたなら、うれしいわ。パンケーキもあるけど?
白雪姫:パンケーキ!三段重ね!クリームい~っぱいの!
オーロラ姫:フルーツもたくさん乗っかっていて甘酸っぱいの!
シンデレラ:ご注文入りました~。
【間】
シンデレラ:はい、召し上がれ。山で摘んできたベリーをソースにしてかけてみたわ。
白雪姫:うわぁ、ふわっふわっ!
オーロラ姫:頬が落ちてしまいそうですわ!
白雪姫:やっぱり、外で食べるスイーツは絶品ですわね!
オーロラ姫:ほんとうに!
シンデレラ:ここ外ではないんだけど……。でも、白雪ちゃんも、オーロラちゃんも、王子様と結婚できなかったわね。残念ではなくて?
白雪姫:いいえ!私、まだ14歳ですもの!
シンデレラ:そ、そうだったわね。まだまだこれからよね。オーロラちゃんは、とりあえず、目の前で会えたけど……。
オーロラ姫:ムリです。
シンデレラ:え?
オーロラ姫:ムリです。顔はまぁまぁよかったですけど、虫こわいですし、マザコンですし、ムリです。それに、私も16歳ですから、これから、よいご縁があると思います。
シンデレラ:そうね……。そういえば、あの後、白雪ちゃんのお母様は「鏡の国」に行ったんでしたっけ?
白雪姫:そうです!ですので、あの鏡は粉々に砕いて、「割れ物注意」と書いて捨てました。
シンデレラ:やるわね……
白雪姫:聞いたところによると、鏡の国で「ハートの女王」「赤の女王」としてパワハラ会議を繰り返しているらしいですわ。
シンデレラ:誰に聞いたの?
白雪姫:鏡の国から帰ってきたアリスちゃんです。
シンデレラ:あ、そう……。そういえば、その後、「七人の大人?」「サムライ?」はどうなったの?
白雪姫:なんでも、「ジャパン」に行って「ムービーに出る」と行っていました。白雪、よくわかりません。
シンデレラ:ジャパンという国があるのは、フィリップ王子から聞いたけれど……
オーロラ姫:その名前を出さないでくださいませ!
シンデレラ:え。
オーロラ姫:眠りから目が覚めた後、森で捕まえてきた虫たちを見せられて、長々と早口で話されたあげく、「オーロラ氏」と言われ、もう!もう!生理的にまったく受け付けませんでした!いまは名前を聞くだけで鳥肌が立ちますの!
シンデレラ:すみません。気をつけます。
白雪姫:お姉さま!私の話も聞いてくださいます?
シンデレラ:なにかしら?
白雪姫:実は、井戸で水をくんでいるところを、某国(ぼうこく)の王子様が私のことを見ていたらしくてー
シンデレラ:あら。
オーロラ姫:何歳の方?
シンデレラ:年齢気にするのね……
白雪姫:プリス王子。18歳。
オーロラ姫:ロリコン!
シンデレラ:フィリップ王子は、20歳過ぎていたと思ったけど?
オーロラ姫:おい、マジか!
シンデレラ:オーロラちゃん…、言葉遣い。
白雪姫:七人のサムライがジャパンに行くというので、お別れパーティーを開きましたの。その時、私、喉にリンゴを詰まらせてしまいまして、仮死状態になってしまいました。
シンデレラ:噓でしょ?自ら?
白雪姫:みんなは死んでしまったと思い、私はガラスの棺に入れられました。そこに、その王子がやってきて、仮死状態の私にキスしようとしたとか!
オーロラ姫:いやぁぁぁああ!よみがえるトラウマぁぁぁああ!
白雪姫:サムライたちが全力でとめてくれたそうなのですが、今度は「ぜひ持ち帰りたい」と申し出があったそうで!
オーロラ姫:ヤンデレ!
シンデレラ:サムライは?
白雪姫:当然断ったそうですが、無理やり持ち帰ろうとする王子との攻防で棺ごと落としやがって!
シンデレラ:白雪ちゃん…、言葉遣い。
白雪姫:あ、失礼しました。その衝撃で、喉につかえていたリンゴを吐き出すことができて、蘇生できたんです!
オーロラ姫:ホラー!ヤンデレ!ロリコン!ムリィィィッ!アアアアッ!
シンデレラ:落ち着いて、オーロラちゃん……
白雪姫:「一目惚れ」だと、プロポーズされたのですが、王子の後ろにいたサムライから、「待て」のサインがでたのでー
シンデレラ:「待て」のサイン?
白雪姫:なんでも「ヤキュウ」というゲームのルールだとか。ご存じありません?
シンデレラ:オーロラちゃん、知ってる?
オーロラ姫:知りませんわ。
白雪姫:複雑なサインでしたので、シンプルにしてもらいましたの。「帽子のつば」から「胸」に手を動かすと「待て」という意味です。「帽子のつば」から「手首」だと、「ヒットエンドラン」になります。
シンデレラ:帽子?かぶっていたかしら……。まぁいいわ、それでどうしたの?
白雪姫:「この件に関しましては、一旦、社内で検討いたします」とお答えしました。
シンデレラ:はぁ……
白雪姫:その後、サムライたちから事情を聞きまして、キッパリとお断りしました。
オーロラ姫:英断ですわ。白雪さん。
シンデレラ:私、シンデレラでよかった……。それにしても、(独り言のように)「ツンデレ」「ナルシスト」「オタク、マザコン、ポンコツ」「ヤンデレ、ロリコン」
オーロラ姫:お姉さま?
白雪姫:顔色が悪いですわ。
シンデレラ:大丈夫よ。いろいろ思い出して……
私たちが出会った王子たちは、とてもわかりやすかったからすぐ決断できたけど、今後もそういう出会いがあると思うわ。それに、二人は一国のプリンセスだから、結婚することになると思うの。でも、その時に、即決してはいけないわ。付き合ってから最初の壁は3か月目よ!
白雪姫:これは経験値ですわね!
オーロラ姫:メモしなくていけませんわ!
シンデレラ:え、ええ……。まずは、親しき中にも礼儀あり。感謝の気持ち、思いやりを忘れないようにね。お付き合いが長くなると、相手の嫌なところが見えてくるものよ。不満に感じていることは「早めに解決したいから」という姿勢で話し合いましょうね。そして、この人と将来、どんな生活ができるかなど、お互いの価値観を共有しましょう。
白雪姫:お姉さま、いえ先生……
オーロラ姫:肝に銘じておきますわ。
シンデレラ:それから、相手に借金がないか。国民から祝福を得られるか。
白雪姫:なるほど……!もし、そういう方が現れたら、お姉さまにご紹介します。
シンデレラ:そうね。友人に紹介する。それも大切なことだわ。
オーロラ姫:さすが、年の功ですわね!
シンデレラ:いちいち痛い……
白雪姫:お城にいるより、お姉さまとお話した方が大変勉強になりますわ。
オーロラ姫:ほんとうですわね。家庭教師としてお城に来ていただきたいですわ!
白雪姫:あ、ずる~い!それなら、白雪も、お姉さまに家庭教師になっていただきいですぅ!
シンデレラ:ごめんなさいね。お城には行かないと心に決めているの。
オーロラ姫:残念……。それはそうと、お姉さま。なんだか急に冷えてきたような気がしません?
白雪姫:山の天候は変わりやすいといいますけど、確かに……
シンデレラ:(ため息)また来たわね。
白雪姫:え?
オーロラ姫:あら、歌声?
シンデレラ:ちょっと待っててね、すぐ戻ってくるから。この毛布をかぶっていて。
ーシンデレラ、外に出る
シンデレラ:エルサ王女!ああ、また氷のお城を作ろうとして……。せっかく育てている作物が凍ってしまいます。「レリゴー」じゃありませんのよ。「ありのままで」は結構ですけど、周りに迷惑をかけるのはどうかと思いますわ。今度お話をお伺いいたしますから、今日のところは、お引き取りくださいませんか。
ーエルサ帰る
シンデレラ:ふぅ……。城に住む方は、王子も王女もこじらせてるわね……。
白雪姫:お姉さま、大丈夫ですの?
シンデレラ:帰られたわ。時々、何かあると歌いながらやってきては、あたり一面を凍らせるのよ。
オーロラ姫:魔法が使える王女様?大丈夫ですの?
白雪姫:ええ、こわいぃぃ。
シンデレラ:ええ、大丈夫よ。
オーロラ姫:あ、冷気がなくなりましたわ。
白雪姫:さきほどの王女様は、何歳ですの?
シンデレラ:もういいじゃない、年齢は……。
ーキラキラ見つめる二人
シンデレラ:だから、そんなキラキラした瞳で見ないで、もう……。私より2つ年上よ。
ーずれても構わないので、同時に
白雪姫:21歳!
オーロラ姫:21歳!
シンデレラ:ようやく大人になった年齢よ。あなたたちが、まだ子どもなの。
白雪姫:年上の方を叱ることができるなんて、さすがシンデレラお姉さま!
オーロラ姫:年上の方にも信頼されているのですね!
白雪姫:で、その王女様は一人っ子ですの?結婚はしてませんの?
シンデレラ:結婚は……まだね。妹君、第二王女がいらっしゃるわ。
オーロラ姫:その妹さんに、お相手は?
シンデレラ:えーと、……いらっしゃるみたい。
白雪姫:なんてこと!先を越された!
オーロラ姫:どこの王子様ですの?
シンデレラ:複雑な事情があるのよ。それと、王子様ではないわ。山男の青年だそうよ。
白雪姫:山の男!
オーロラ姫:一般人!
ーざわつく二人
シンデレラ:いいじゃない。力強く一本気で義理堅い男性らしいわよ。
白雪姫:ということは、私たちも一般の方と恋をしてもいいのかしら?
オーロラ姫:え?なに?白雪ちゃん。もしかして、心当たりがあるの?
白雪姫:え?いえ……そんなことは……
オーロラ姫:私より先にそんなこと!どこの誰!言いなさいよ!
シンデレラ:ちょっとちょっと、もう落ち着いて。(ため息)当ててみましょうか、白雪ちゃん。
白雪姫:ええっ?
シンデレラ:狩人(かりうど)じゃない?
白雪姫:そ、そ、そ、そそそんなことありませんわっ!
オーロラ姫:あたりですわね。
シンデレラ:ここに来る時に、その狩人に送ってもらったんでしょ。
白雪姫:み、見ていらしたんですねぇぇ!
シンデレラ:馬の蹄(ひづめ)の音が聞こえたので、窓から確認したの。
オーロラ姫:なんて敏感なお姉さま……
シンデレラ:ええ、特に馬にはね。(咳払い)そうじゃなくて、白雪ちゃんの話に戻るわよ。馬に乗って狩りをする、颯爽とした年上の男性。それにあなたのことを助けてくれたものねぇ。憧れる年頃よ。
白雪姫:ち、ち、違いますぅ!
オーロラ姫:何歳の方?
白雪姫:わかりません!
オーロラ姫:まぁ、いずれにしてもあきらめた方がよいですわ。叶わぬ恋ですわよ。
白雪姫:でも!帰りも迎えにきてくださることになっていますもの!
オーロラ姫:はぁぁああああああ?
白雪姫:だって、だって、七つの山を越えないと、ここには来られませんのよ?
オーロラ姫:かよわいアピール!あざとい!どうせ、国王様に付き添うよう頼まれただけよ!
白雪姫:そういうオーロラさんは、ここまでどうやっていらしたの?
オーロラ姫:え?
白雪姫:どうやってここにいらしたんですぅ?
オーロラ姫:そ、それはぁ……
白雪姫:それは?
シンデレラ:バサバサと翼のような音が聞こえたわね。
白雪姫:あぁ~!ドラゴン?まさか!
シンデレラ:フィリップ王子のおばあさまね?
白雪姫:オーロラさんってば「ムリ!生理的に受け付けない!」と言っておきながら、実はつながっているんじゃありませんか!
オーロラ姫:違うの!これには理由が!
白雪姫:ほう?聞かせてもらおうじゃないの?
シンデレラ:ちょいちょい、ガラが悪くなるのよね……
オーロラ姫:フィリップ王子は本当に無理!でも、おばあさまは、とても優しい方で、時々様子を見に来てくださるの。ご年配の方の親切を無碍(むげ)にはできませんわ。
シンデレラ:なるほど。おばあさまは、外堀から埋める作戦ですわね。
白雪姫:あらあら。これから、どんな展開になるか楽しみですわ~。帰りも迎えに来てくださるの?
オーロラ姫:お断りしたのですが、一人は危ないからと……
白雪姫:あ~ら、あらあらあらあらあら……
シンデレラ:……と、そろそろ迎えに来てくださる頃合いかしら。
白雪姫:いいえ、明日の朝に迎えがありますわ。
オーロラ姫:私もです。
シンデレラ:え?まさか、二人とも……
白雪姫:今日はここに!
オーロラ姫:お泊りしますの!
シンデレラ:それは聞いてない!ここには、小さ~いベッド、ひとつしかないわよ?
白雪姫:朝までおしゃべりしましょ!
オーロラ姫:私、トランプ、持ってきましたわ!
白雪姫:却下。
オーロラ姫:え。
白雪姫:ハートのクイーンが混ざってるカードは嫌いですの。
オーロラ姫:あ、ああ、そうですわね……
白雪姫:「恋バナ」がいいですわ!
オーロラ姫:お姉さまの「武勇伝」が聞きたいですわ!
シンデレラ:(ため息)あのね、私、やることがたくさんあるのよ。自給自足は甘くないの。徹夜はしないの。
オーロラ姫:徹夜なんて、まだ16歳の私にはなんてことありませんわ!
白雪姫:そうそう、私も14歳ですから!
シンデレラ:それなら一人暮らしをしている、年上の身体のことをもう少し考えくれてもいいんじゃないかしら?それに、プリンセス二人がこんな場所に泊るだなんて、絶対にいけないわ。
白雪姫:いやぁ、白雪ぃ、泊りたい!泊りますぅ!
オーロラ姫:夕食のお手伝い、お片付けいたしますからぁ!
シンデレラ:残念ね。
オーロラ姫:え……、あの音は。
シンデレラ:迎えにきてくださったようね。私も、フィリップ王子のおばあさまとは仲良くさせていただいているのよ。何かあったらすぐに呼んで、と。
オーロラ姫:えええ!お姉さま、ひど~い!
シンデレラ:それとー
ー窓の外を見る
シンデレラ:白雪ちゃん、あなたの方にも迎えが来ているわよ。
白雪姫:ええ!
シンデレラ:ほら、憧れの狩人様が。
白雪姫:きゃああああ(照れ)どうしてぇぇぇ!
シンデレラ:いらした時、窓越しに「姫が泊りたいと言っておられますが、迎えに来ます」と口が動いていたのよ。
白雪姫:ど、読唇術!「独身」だけに!
シンデレラ:独身は関係ないでしょ!ほら、オーロラちゃん。おばあさまを待たせては失礼になりますわよ。
オーロラ姫:そ、そんなぁ。お泊り会を楽しみにしていたのにぃ。
シンデレラ:白雪ちゃんもよ。憧れの男性の後ろに乗ってお帰りなさい。
白雪姫:くっ!白雪、心が揺れますわ!
シンデレラ:ほらほら、はやく。暗くなる前にお帰りなさい。
白雪姫:残念すぎますぅ。
オーロラ姫:また来てもいいですわよね?
シンデレラ:……週一くらいならよくてよ。
オーロラ姫:白雪さぁん、毎日来ていいそうよ~!
シンデレラ:週に一回だってば!
白雪姫:ごきげんよう!お姉さまぁ。また明日来ますわ~。
シンデレラ:週に一回!って、どうせ、聞いてないわよね。あの子たちと喋ってると、なんだか5歳くらい年取った気分になるのよねぇ……。しんどい……。
(N):こうして、無邪気なプリンセスたちから、大事な睡眠時間を取られずに済んだシンデレラ。いつになったら、シンデレラは、静かな生活を送ることができるのでしょうか。
Fin.